1度大きく深呼吸をして、再び地面を照らそうとケータイをかざす。



「え…?」



が、照らしたはずの場所は真っ暗のまま。



「ちょ、やだっ」



叩いたり振ったり、電源ボタンを押したりしてみるが、充電切れの画面が虚しく表示されるだけだ。



「うそでしょ…」



途端に真っ暗な世界に飲み込まれてしまったような静寂。



目を開けても閉じても、平等な闇が広がっている。



不安が胸を襲って仕方が無い。



戻ろうにも来た道がわからない。



木々が風に揺れる音が、頭をおかしくさせるほど恐怖を煽った。



「いやぁ…っ」



頭を抱えてしゃがみ込む。



この世界には私しかいないのではないかと、変な錯覚と恐怖に飲み込まれてしまいそうだ。