そろそろ神社が見えてくる頃だろうか。



探し始めてから1時間はたったというのに、ネックレスは見つからなかった。



一体どこで落としたというのか。



風が吹き、木々を揺らす。



木々が不気味に軋み、風の音が一層不気味さを際立たせている。



「…っ」



前後左右どこ見ても、自分の足元より離れてしまうと真っ暗な世界。



スタート地点にはもう戻れない。



足元を照らして、怖さを紛らわせるために必死になった。



同じ作業を繰り返しているせいか、手のひらの皮が剥け、ヒリヒリと痛んでくる。



千陽ちゃんは泣いていた。



ネックレスをなくしてしまったと。



泣いてまで悔やむものに、どうでもいいものなどないはずだ。