とりあえず森の中だ。



さっきとは違い、しーんと静まり返っている森の中。



これは本当に出るのではないかと身震いする。



「よ、よし…」



自分にカツを入れて森の中へ足を踏み入れた。



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バサバサッ



「ひぃやぁッ」



カラスが飛び立つ音でも、全神経が怖いと叫んでいる。



足元を照らすケータイの明かりだけが、私を支える全てだ。



来た道を振り返ると、結構進んでいることが分かる。



ネックレスは一向に見つからない。



森の中は風が吹き抜け、夏だということを忘れるくらい寒さがある。



(ないなぁ…)



石をどけ、土を払い、光をあてる。



それを何百回と繰り返しているが、それらしいものは一つもなかった。