伊澄くんが私の手を引き走る。



子供のようなその横顔を見て、自然と笑みが零れた。



「海ほんと近いっすねここ」



「ほんとだよね。ここに住みたい」



海を目の前に、伊澄くんは歩を緩める。



「綺麗な夕陽…」



私が呟くと、伊澄くんも夕陽を見て目を細めた。



「海と夕陽とか…ロマンチックっすねオレら」




伊澄くんが悪戯に笑うから、私もそうだねと笑う。



「あ、もしかしてあれ、芽依?と先輩?」



と、波打ち際で人影を見つけた伊澄くん。



よく見ればそれは、輝と芽依ちゃんだ。