「いいんだよ。おこった事実は変わらないし、それをどう利用したかという事も変わらない。ただ、少しばかり収穫があったようだ」

代表が笑うと大人の色気が匂い立って、くらくらと目眩がするようだった。



「橘代表、私はこれで失礼して裕也を見てきます」

後ろで控えていたマネージャーが声をかけると、代表は体を向けて返事をした。


「いや、蓮見は行かなくていい。すまないけれど、頼まれてはくれないかい。お嬢さん」

急に話を振られて、びくっと肩が跳ねる。

「たいしたことじゃないんだよ。裕也に伝言を伝えて欲しいだけだからね。あいつはきっとこの先の坂を上がった公園にいるから行ってみてはくれないか」