「彼女は未也ちゃんて言います。裕也が心配をかけるものだから、気になって話を聞きに来たんですよ。未也ちゃん、こちらは劇団の代表だ」



説明を受けて頭を下げると代表はたん、と切子のグラスを置いて体ごとこちらに向き直った。

「あいつも隅におけないね。どこでこんなお嬢さんと仲良くなったんだか」

正面からまじまじと観察されている。それこそ頭の先から、爪先まで。安っぽい服に、傷のついた靴では恥ずかしくてたまらない。



「そうか。裕也が迷惑をかけたね。今回の報道で裕也があれだけ怒るのも無理ないかもしれんな」


「すみません、ただの知り合いでしかないのに、こんな大事な話をしている時にお邪魔して」