だから“もしも”の話がしたい。
私だって何か出来る事がある筈だ。


「殺される訳じゃないんだし、いざって時の為に……」

「“いざ”は来ねぇから。余計な心配しなくていい。安心してパン売ってろ」

「パン屋は辞めたくない……」

「お前俺の話聞いてたか?」


学校は辞めても、パン屋は辞めたくない。
ずっとお世話になってる店長も、バイトのみんなも。

膝を抱えて頭を凭れる。


「はあ……」

私の後ろで、ベットに座る祐也が溜め息。


溜め息なら、私だって吐きたいし。
小さく息を吐くと、オレンジ色に染まるカーテンに目を向けた。