「ほら、行くぞ」
「……どこに?」
「部屋」
立ち上がった響は、部屋に行く、と私を振り返り言う。
なんで、部屋に?
「俺が横になりてえから。抱き枕になれよ」
「何それ」
「いいから」
手首を掴まれ、立たせられそのまま二人さっきまで寝ていた部屋に行く。
その言葉通り、ドサッと横になった響は、室内の電気は消したまま私を引き寄せ頭を抱いた。
横になりたいと思ったからか。
私もさほど抵抗する事はなく、大人しく隣に横になる。
――雄大は、約束……守ってるんだ、と。
一言も喋らなかったのに、私の表情だけで言い当てた。
分かったことがある、とも……
頭に残る雄大の声が未だに耳に張り付いているみたいに感じ、引き寄せた薄いタオルケットを頭まで被った。