くるりと反対を向き、今度は左の奥の部屋へ進む。


……失礼します。

心で呟き、ドアノブを下ろした。


中には、大きめのベッドが一つあるだけ。
やはり部屋は綺麗に片付いている。

布団カバーは薄いエメラルドグリーン。


この部屋?な訳ないよね。
顔だけ部屋に突っ込んで、辺りを見回す。

あ、壁に鞄がかけてある。

赤、黄色、黒……


女性ものだよね。
きっとお母さんのかな。

じゃあ……部屋はやっぱりさっきの?


そうだよね。ここじゃないなら、さっきの小綺麗な部屋に違いない。

へぇ。イメージとは違うもんだな。


祐也のお母さん、失礼しました。


また静かにドアノブを引いて扉を閉めると、今度は確信を持って、先程の部屋へと踵を返した。