ちょっ、ちょっと!
付いてけばいいの?
お家の人いないの?


焦りとは裏腹に、玄関には靴がなく、


「うん、あ、美咲さんに、さゆりちゃんに電話して麻衣の話しといて、って言っといて。うん分かった。また後で」


話ながら靴を脱ぎ捨て、ズカズカと進む祐也だけど。

あんたんちなんだから、これが当たり前だろうけど、私は我が家じゃないから、遠慮するんですけど?!


「行かねえよ。ちょっとムカつくけど」


玄関に立ち尽くす私に、祐也が振り向いたのは、通話が終わってからで。

そんなに時間は経ってないけど、人の家に行きなり来る緊張感はやはりある。

なのに。なのに。


「はあ……」

「何ため息吐いてんだ」


話しかけた第一声がこれ。