どうすれば、なんて想いは、考えるだけ無駄。

いつだって私を自由にしてくれない、その笑みが。



今は怖くてたまらない。



「早く帰れ」

「ふ、言われなくても」


何も言えない私に変わり、響が言い放つと、雄大はリビングを出ていき、数秒後。


――バタン……


玄関の扉がひとりでに閉まる音がした。



暫くリビングの扉を見つめ、雨が打ち付ける窓に響が近付き。
少しの間の後「チッ、」と舌打ちをする音が聞こえて。


響は再び、私の隣に腰を下ろした。


「帰った」


そう口にして。




時間にすれば、きっと役10分程度。
響は、雄大がちゃんと帰ったか、あの窓から確認したんだろう。

どっと、疲れが体を襲う。