そして――――一歩。雄大が足を踏み出す……
「それ以上」
響が言葉を放つ。
すると、一瞬俯いた雄大が響を射抜いた。
「足が進むなら戦争だ」
力強く話している訳じゃない。
響はいつもと変わらず、感情が分かり辛い、温度がない話し方。
響のその言葉に、踏み出した足を、スッと戻した雄大は、面白そうに目を細めて笑う。
「ゾクゾクするね。俺は構わないんだけど……いきなり頭を取るのは卑怯かな」
「“取られる”の間違いだろ」
「相変わらずで、面白いね。松下響は」
クスクスと。笑いながら話す雄大が不気味。
こんな雄大。見たことない。