「だから何だって言うんだよ」
祐也が。
言葉を放ちながら、私の手首を掴んだ。
雄大の世界にどっぷり浸かっていた私に、“しっかりしろ”と。言われている気がして。
祐也の温もりにハッとする。
「原嶋、お前が言ってるのは“過去”で“今”じゃねぇ」
「……へぇ」
「麻衣は“今”ここに居るんだ。それが全てだろ」
「お前と繋いだその手が全てだと……言いたいの?」
殺気立ってる祐也に対し、雄大は苛立ちは感じるものの、どこか冷静。
雄大の雰囲気に飲まれそうになるけど、掴まれた祐也の手は熱く……自分を盾にしようと、僅かに後ろに引かれた。