瞬時に拾い上げたけど、明らかなタイムロス。


これなら……っ。

祐也にバトンが渡った瞬間。
田宮さんも、渡辺さんも。
坂本くんも、村田くんも。



イケるかもしれない。




そう思ったに違いない。


「祐也ー!!あはははは!」
「祐也くんいけー!」
「抜いてこい、祐也!!」


美舞のみんなが、祐也に叫ぶ。


ぐんぐんスピードに乗っていってるのか分かる。
アンカーは、一周半。

ちょうど半分の位置にある、用具入れの前で二人を抜き去る。


一位とは僅かな距離。

少しずつ、少しずつ距離が詰まる。
だけど、向こうも早い。

きっとそのクラスで一番早いんだろう。


簡単には抜けそうにない。
だけど、一周走った所で……並んだ。