みんな本気なんだもん。
当たり前だけど、今更ながらに体育祭に参加している気分になる。


田宮さんは前と少し距離を開けたけど、抜かれないまま渡辺さんにバトンが渡る。


そのまま駆け出した渡辺さんの組は男子が多くて。
またも四番目に後退してしまう。


六組で走ってる中、トップとの差は極端ではないものの、次の村田くんにバトンが繋がれた時は、もう半周近く離されていた。



一番はやっぱり無理かな……
祐也がいくら早くても差がありすぎる。


そう思いながら、村田くんが前との差を縮めて、順位は変わらないまま、一人目立つ黒ジャージの祐也との距離が詰まっていた……その隣で。



ワアアアアアア!!!!


グラウンドを見守る観客席から声が上がったのは、一位と二位の組が、バトンミス。






バトンが手から滑り落ちてしまった。