「“慶ちゃんを信じて。さゆりちゃんの事大事だって……今は敵が多くて、これからもっと増えるから。あえて一緒に居られない”って。祐也にさ、泣かされたよ。それ以上に……慶太郎の気持ちが痛くてさ」


じゃあ慶太郎は、さゆりさんを守る為に……?
丸めた目をテントから反らせない。


「あんなに頑なに拒むんだ。もう慶太郎から離れてやる事にした。でも選んだのは同じ高校だけど。そのくらい許されるかなと思って」


隣から聞こえるさゆりさんの声が切なく自分の胸に響く。
離れたのはいつの時期なのか分からない。
だけど、同じ高校に、って事は……少なくとも三年はさゆりさんは一人で耐えている事になる。





「それから、一回だけ電話があったんだ。慶太郎から」