「何だよその顔。聞かれたくねえ話してたのかよ」


距離が縮まり、祐也の顔が近付き、ドキンと胸が強く鼓動を刻む。

……聞かれたくない話。


思いっきりしてたけどさ。

そんな直球で聞かれたら、すぐに言葉が出ない。



まずい……
何て言おう……



黙ったのはきっと数秒もないくらいの間。
だけど、背中には冷や汗。

何でもいいから、何か言わなきゃ……!

瞬時にそう思って、口を開こうとした……




「祐也、お前まず私に挨拶しろよ」




さゆりさんが、いつもの調子で祐也に話しかけてくれて。鋭い視線は私から外れ。


「あ、さゆりちゃん、おはよ」

「てめぇ、わざとだろ」


私を間に挟んで。
雰囲気が一気に変わって助かった……