「もしもし」

『……ん。あ……?』


明らかに寝起きの声。

少しずつ遠くなっていく、裸女達の後ろ姿を見ながら、頬を撫でる風がじんわりかいた汗を冷やす。


「何で学校来ないの」

『は……っ!?おま、……ってぇ』


ドン、と音が電話越しに聞こえる。


「今ベッドから落ちたでしょ。漫画みたいなヤツだね」

『っ、いってぇ……お前がわりぃだろ。端で寝るのが好きなんだよ、俺』


知らねえよ、って情報。


久しぶりの祐也だ。
当たり前だけど、いつもと変わらない雰囲気に、ちょっとした安心感。


『お前からだとは思わねえだろーが』

「学校」

『土曜日に行けるかよ』

「準備あるよ」

『めんどくせぇ……』