「探したよ?」
口角を上げ、上下黒の服に身を包む雄大は、私達との距離を詰めようとはしない。
ソファに座り、まるで体を氷付けにされたかの様。
私の体はピクリとも動かない。
背中を伝う冷や汗だけが、リアルに感じ、より私の心を闇へと引きずり落とそうとする。
「嘘吐けよ。お前知ってただろうが」
そんな私達の空気を。
全く気にもとめてなさそうに、ゆらり。
立ち上がった響。
距離はそのままで、雄大に体を向けた。
「俺は今の今まで寝ずに麻衣を探してたよ。“妹”だからね」
「じゃあ毎朝無邪気がウロチョロしてんのは、偶然か?」
「さあ?」
普通の会話にも聞こえるのに。
距離縮まってない筈なのに。
こんなにも息が苦しい。