「見た目とは違って小悪魔気質なのかな、麻衣ちゃんは」
今までとは違う。
まるで馬鹿にしたような。決して好意的ではないのが分かる。
「や、やめてください……」
思わず目を伏せて、口を開いた。
でも雅也さんは止まらない。
「男に奪い合われるってどんな気分?」
「……な!」
「そんなんじゃないって言うの?でも二人とも知ってるよ?お互いが麻衣ちゃんを好きなの」
何言ってんだ、あんた!!!
私の言葉なんか待ってくれない。
畳み掛ける様に話続ける。
「どうする?」
表情から感情が読み取れない。
背中に冷や汗が伝う。
エアコンで冷えた室内は、私の指先の体温を一瞬にして奪った。
見つめ合う事数秒……
「私は……」
ゆっくりと言葉を選ぶ。
雅也さんの笑みは崩れない。