空気が。

一瞬にして凍るのが分かる。


「てめぇ、何とか言えや。殺されてえのかよ」


威嚇って言葉がピッタリだ。

頭が真っ白になる。
私のせいだよね……?つか慶太郎!

言われてる本人は、スマホを手に、男の人と目も合わせようとしない。


何か言ってよ!!

心の底からの願い。
だけど慶太郎は動かない。


ーーガターーン!!


男の人は、カウンターの椅子を思いっきり蹴ったかと思うと、カウンターに飛び乗ろうと、足をかけた。


その時。


「その子だよ、麻衣ちゃん」


一言。

慶太郎が口にした言葉は、私の名前。

男の人は、ピタリと体を停止させると、ゆっくりとこっちを向く。