「わ!何脱いでんの!」
おもむろに、自分が来ていたTシャツを脱いで。
くるっとこっちを向くと……
ーーズボッ。
「わあ!!何すんの!」
私の頭に被せて、スッポリ下まで着せられた。
突然の事で驚く私に、
「そのまま連れてったら怒られる」
と言って、また、階段を降りていく。
もう、頭の中は疑問符だらけだ。
どのまま連れて行けば怒られるのかも分からないし。
上半身裸なのは怒られないのかよ。
“怒られる”の言葉に、慶太郎の服の袖に腕を通すけどさ。
知らないところでおいてけぼりは嫌だ、と。
喚くわけにもいかないこの場所では、黙って着いていく他にない。
着いた先は、黒い扉があって。
慶太郎は迷いなくドアノブに手をかけた。