「麻衣は、俺が……――――」
視線は上げることが出来なくなり、上から聞こえる声に、いつの間にか耳が集中していた時。
――――ガチャン。
玄関の音が廊下に響くのが、二人の耳に届き……
「やべー、ちょー濡れたー」
「風呂、風呂~」
「麻衣ちゃーん?響くーん?」
ガヤガヤと。
いつもの美舞のメンバーだろう声が聞こえてきて。
隣に横になっていた響は、少しの間の後、ベッドからおりて、部屋の扉を開けた。
部屋のドアを閉めながら、小さな舌打ちをした響に、一人ベッドで固まるしかなかった。
あれ、は―――――――
聞きたいようで、聞きたくない……
照れなのか、恐怖なのか、不安なのか。