本来なら笑えない。
だけど、いつもより二倍くらい優しい雰囲気の響はよく喋る。


どれぐらいの時間が経っただろう。

雄大が、リビングに居たことが夢なんじゃないかって思えるくらいに、心が驚くほど早く穏やかになっている。


頭に被ったタオルケットを取って、だけど視線は上には向けず。


「好きな色は?」

「白。響は?」

「……ない」

「ちょっ、そんな人居るの?!」

「目の前に居んだろうが」


何故一々喧嘩腰なんだ。
外はすっかり暗くて、部屋を照らす豆電球が、闇に慣れた瞳では明るく思える。


はぁ、と。

大きく息を吐き出して。

少し喋り疲れたかも。

髪をかきあげて、頭の上にある響の顔を見た。