「おい、あの子かわいい〜」

一列前の男子から、
そんな言葉が聞こえた。



あぁ、確かに。


「あの声、人を惹き付けてるよな。」


そんな言葉が俺の口から出たことに

少し目を見開いた和也。

そのあと、

「あぁ、そうだね。」

と、少し期待するような声が返ってきた。



「珍しいね、朔(サク)から、
声を褒めるような言葉が出るなんて」


隣で、からかうようにケタケタと笑っている和也に、
少しイラつきを覚えた。



ただそうやっている間にも、



あの子の声が、頭の中で、

なんどもなんども

響き渡っていた。



ー朔side endー