分かれ道だ。



平「お前等はふた手に別れろ。俺はコッチに進む。」



 彼等は黙って頷くと、再び走りだす。


 俺は反対方向に走りだした。




男「ぎゃーーーー!」



 響く男の声。


 そこには………


 次々と男に飛び移り殺していく少女がいた。


 なんだよ、あれ。



 猫…………?


 でも、体は人間だ。


 暗闇で顔がよく見えない。


 その少女はこちらに向かって来る。



 ヤバくね?!


 俺は刀を鞘から抜き、構える。



 少女は俺の目の前にいる男を殺した。



 鋭い爪で喉を一突きし、華麗な跳躍で相手を仕留める。


 猫みたいだ。




 少女はこちらに目線を向ける。



 !!!???



 ………………美夜?




 人ではない姿をしていながら顔は美夜だった。



 金色の瞳が俺を捉え続ける。



 綺麗だ。




 顔についた返り血が、鮮明に美夜の顔を浮かび上がらせる。




平「美夜……………?」



 俺が名前を呼ぶと、美夜の瞳が一瞬陰る。


 美夜は踵を返し、此処から立ち去ろうとする。



平「待てよ!」



 俺は反射的にその背中を追いかけた。



 美夜は少し膝を曲げると、あっという間に俺の視界から消えた。



 
 何処だ?!



 辺りを見回すと、屋根の上に立つ美夜の姿が。



 屋根伝いに走って行き、姿は見えなくなった。