何刻経っただろう。


 私は、一人、京の町を歩いていた。


 何処だろう。此処。


 人間が、怖い。


 すれ違う、人間が嘲笑っているように見える。


『化け物!』


 そうだ、私は、化け物なんだ。


 人間じゃ、無い。


 なのに、人間になった様に人間と、暮らして……


 私はいらない子、なのに…………



男「そこの娘、こんな夜に何してんの〜?」

男「暇なら俺等と遊ぼうぜー!」



 ビクリと肩を震わせ、俯いてしまう。


 すると、男の一人が私の顔を覗きこむ。



男「めっちゃ可愛いじゃん!」



 その男は私の手首をつよく掴み、引っ張る。



 やめてっ!!!



 恐怖で声が出ない。



 私の意志が伝わらない。



 怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。



 

ザワザワッ



 私の周りに風が吹き込む。



 その風に包み込まれ、私の体が変化する。



 本来の私の姿に…………



 尻尾が生え、尖った耳が出てくる。


 二本の又別れした尻尾がうねる。


 牙と爪が怪しく光り、目は金色に闇色の中で、輝く。



ザシュッ



 1人。


ザシュッ



 2人。



男「……………ば、化け物!」



 そうだよ。


ザシュッ



 私は、化け物だ。



 私は男が流している血をペロリと舐める。


 
 血に飢えた、化け物だ。


 同族殺しの罪を背負い、殺した人間の怨念は一生離れない。



 古傷が、痛み出す。


 馬鹿だな。



 昔の傷なんて、とっくに治っているはずなのに…………な。



 己の手を汚し、体を汚し、一体私は何をしてるの?