オレは結局、ホクにお茶を奢ることで、許してもらった。

150円が、散っていった。





「で?
どうしてキクは須藤が好きだなんて言ったんスか?」


「本当のこと。
それの何が悪いんだ?」


「キク。
お前言ったよな?

俺の記憶を塗り替えてくれって」





ホクの色素の薄い茶色の瞳が、オレをジッと見つめる。

…怒ってんな、コイツ、間違いなく。




「それなのにキクは須藤が好きだなんて言うのか?
俺の過去はどうなっても良いっていうのかよ、お前。

それに―――」




ホクが言葉を切る。




「アイツは、どうなるんスか?
このまま、騙したままでいるつもりスか?」


「……そうだ」


「なっ…何を言っているのかわかっているんスか!?
キクはアイツを傷つけたままで良いと思っているんスか?」


「傷つける?
…どういう意味だ?ホク」





本当にわからなくて真面目に問いかけると。

グイッとホクに襟元を掴まれた。