「迷惑は全然かけられていません。
ですけど……」
「ですけど?」
「凄く…謎な人だと思います。
何を考えているのか…サッパリ読めません」
クスクスと、喜多さんが笑う。
…そんなに面白いことですか?
「アイツはあんまり人と関わることが少ないので…。
コミュニケーション能力が低い、とでも言うのでしょうね」
「そうなんですか…。
見た目明るそうなので、ちょっと意外です」
まぁ普段寝ていることが多いから、きーくん以外の人と接しているのを見たことがないんだけど。
「見た目も口調も、あの子の父親譲りです」
「お父さん?」
「ええ。
アイツ、見た目や年齢と違って、少し変な話し方するでしょう?
アレはわたしの息子で北斗の父親譲りなんですよ。
話し方も考え方も雰囲気も、父親と瓜二つです」
「話し方も?」
「ええ。
いくら幼い頃とは言え、父親の喋り方が聞いているうちに移ったんでしょうね。
若いのにあんな古風な喋り方していて、変ですよね」
苦笑している喜多さん。
あの古めかしい言葉は全て、お父さん譲りだったんだ…。