「先ほどは大声出してしまい、失礼いたしました…」
「あり得ないスよ。
あんな大声出すなんて」
「これ北斗。
別に構いませんよお嬢さん」
数分後。
西川家のリビングで、あたしは如月のお祖父さんに謝っていた。
にしても若いなぁ。
お兄さんって言われても信じてしまいそうなほど。
あたしのお祖父ちゃんって、もう髪の毛全部真っ白なのに。
この人が如月のお祖父さんなんて、信じられないよ。
「改めまして、初めまして。
如月北斗の祖父・如月喜多(きた)と申します」
あたしの両親が集まったところで、如月のお祖父さん―――喜多さんが自己紹介した。
如月の下の名前・北斗に北って漢字がはいっているのって、お祖父さんの名前から取ったのかな?
「初めまして。
今日は昼間、リンゴを拾っていただきありがとうございます。
西川美空の母です」
「父です」
「西川美空です」
どうやら今日の昼間、母さんが坂道を上っている最中、安売りしていたらしいりんごを詰めた袋が、破れてしまった。
それを拾ってくれたのが、如月のお祖父さん・喜多さんだったんだって。