静かな住宅街を歩いていると、家に入って行く母さんが見えた。
「あ、母さん」
「あらお帰り美空。
その子、昨日の子よね?」
「そう」
そうだ。
母さんと如月、昨日会ったんだ。
「…母さん。
随分な荷物だね」
母さんが手にする買い物袋には、多くの食材がはいっていた。
重いものを持つのが苦手…というか嫌いな母さんだから、珍しい。
「今日、親切な方に会ったのよ。
それで晩ご飯、一緒に食べませんかってお誘いしたの」
「そうなんだ」
それでそんな多くの食材を買いこんだんだ。
「近所に住んでいる、如月さんって方なのよ」
「……如月?」
隣を見ると、同じ名字の如月が、不思議そうな顔をしていた。