私はその日のことを、鮮明に覚えている。

そして、同時に誓った。

如月くんに隠し事は出来ない、と。





「まだ好きなんスか?」


「え?」




ボーッとしていると、如月くんが前置きもなしに話し始めた。




「キクのことスよ。
おたくはまだ好きなんスか?」


「好きだよ。
好きに決まっているじゃないの」


「キクとの関係を、利用していないスか?」


「利用?
するわけないじゃない。

確かに出会いは婚約者って関係だった。
私はまだ未成年で、もっと恋したいって思って、最初は決めたお父様に反発した。

だけど相手がキクくんだったから。
私はキクくんが好きになれた。

如月くん、前に言ったよね?
私が教室で本当に仲の良い友達がいなくて寂しいから、キクくんを利用しているんじゃないかって。

確かに寂しかった。
本音で話せる友達がほしかった。
男に好かれる私を妬む女子じゃなくて、私の外見と家しか見ていない男子じゃない、友達が。彼氏が。

だけど今は寂しいなんて思わない。
キクくんのことも本気で大好きだし、美空が友達になった。
如月くんも、傍にいてくれるしね。

私は本気で好きだし、大事にしたいと思っているよ。全部ね」






後悔しない恋がしたい。

諦めるような恋なんてしたくない。







私はキクくんが、

好きだから―――