『何で―――』


『毎日の休み時間の度、キクへ会いに来るおたくを見ていれば、わかるスよ』


『さすが学年トップの居眠り常習犯秀才…』


『…ネーミングセンスないんスね、おたくは』




如月くんもキクくん同様、前々から知っていた。

イケメンだっていうのでまず入学式の時に少し話題になった。

確かにイケメンだと思う。



次は授業中の姿で、話題になっていた。

学校へ来るのはいつも遅刻寸前、移動教室に間に合うのも寸前。

参加してもすぐに机に突っ伏して寝てしまう姿に、女子は毎日のように騒いでいた。



そしてやっぱり、テスト結果。

3学年全部で行う学力診断テストで、入学当初から3年間トップを撮り続けていた先輩に、大差をつけて勝ったのだ。

しかも異例の満点合格で。

「授業中はいつも寝ているのに…」と話題になったものだ。




そしてついたあだ名が、『学年トップの居眠り常習犯秀才』。

確かに滅茶苦茶なネーミングセンスではあるけど、合っていること間違いなし。

私は2年間如月くんとクラス違うし、キクくんと知り合わなければ話さずに卒業していたと思う。




『私のネーミングセンスがないんじゃないの。
学年トップの居眠り常習犯秀才は、皆言っているんだよ』


『……興味ないスよ』




如月くんは鞄を背負い直すと、何も言わずに教室を出て行った。