「……転校生さぁ」
「な、何?」
来て早々机に突っ伏していた如月が、左腕を枕にしてこっちを見ていた。
染めたのかどうか不明な茶色の髪の毛が、所々跳ねていた。
…てかまだあたしのこと、転校生って呼んでいるし。
「なにゆえ、自分が傷つく方へ向かうんスか?」
「……ッ」
自分が、傷つく方。
それは、きーくんが真帆を「好きだ」と言ってしまうかもしれないことを、聞こうとしていたから。
「自分が傷つく方へわざわざ行こうとするのか、俺にはわからないスね」
「……如月が知らなくて良い」
「ま、そうなんスけど」
「ふわあ…」とこの世の全てを包みこんでしまいそうなほど大きな口を開けて欠伸をすると、如月は再び突っ伏した。
だけどすぐに気が付いた先生に殴られていた。
「イテテ…」と言う如月に、少しだけ笑った。
自分が傷つく道へ何で行くのか。
その理由はあたしもわからない。
もしかしたら知りたいのかもしれない。
きーくんが真帆のことを、どう思っているのか…。