「…これ、受け取って」




海斗さんがポケットから出して、
私の手の平に乗せたものは




「…鍵…?海斗さん、もしかしてこれ…」

「…桃華、聞いて」

「海斗さ…」



「桃華、隣じゃなくて同じ部屋に住もう」













ポロリ、と自然に涙がこぼれた


「…一緒に…?」

「おう、…ダメ?」



私は全力でふるふると首を横に振って
思いきり海斗さんに抱きついた



「嬉しいです!海斗さんと住みたい!」

「…おっしゃー!桃華、ありがとう」














海斗さんと、同居…
ちょっと恥ずかしいけど、嬉しい!


毎日海斗さんの帰りを待てるんだ…



「…桃華と同棲か〜」

「ど、同棲ってちょっとえっち…」

「まあ、ほぼ寝かせねえけど」

「なっ…!」



仲直り?からのまさかの同居のお誘い


私の赤いコップも、
こっちに持ってこなくちゃね













ーーーー…



カランコロン



「あ、いらっしゃいませ〜」

「桃華来たぞ〜」

「桃華さん!こんにちは!」



海斗さんと同居の準備を進めている最近、

よくバイト先に海斗さんが
後輩さんを連れて来てくれる様になった














「藤岡さん、いらっしゃいませ」

「桃華さん今日も綺麗っすね〜!」

「ふふ、ありがとうございます」

「こら人の女口説くな」



藤岡 優人さん、23歳

藤岡さんは海斗さんの2つ後輩で、
仕事の担当が同じだから仲がいいようで

すごく爽やかで、元気な人!


初めて会ったその日にも、
可愛いって言われたっけ…(笑)













「こちらへどうぞ!」

「はあーい」

「藤岡、お前桃華にデレすぎ!」



海斗さんが、少しムッとしてて
ちょっと可愛い、って思ったのは秘密



店長にまた海斗さんと藤岡さんが
来てくれたと伝えると、


「桃華ちゃんちょっと休憩してこれば?」

「え、でも」

「せっかくだから話しておいで」













わーい!店長が優しい!


私は店長に全力でお礼を言って、
自分で紅茶を入れて2人の元へ



「あれ、桃華どうしたの」

「店長がちょっと休憩くれました!」

「おおー!桃華さん!話しましょ」



藤岡さんに促されて、私は海斗さんの
お隣へ腰掛けて紅茶を啜った













「そういえば、先輩と桃華さんって…」

「あ?なんだよ」

「同居するんですよね?」



そう、藤岡さんには、この前同居することを
海斗さんがお話したらしいんです



「そうだけど」

「先輩桃華さんの両親に挨拶したんすかあ?」

「「…あ」」














私と海斗さんは、顔を見合わせた



そうだよ!!

同居なんて、自分達だけでいろいろ
しちゃダメだよね!?


普通、両親に許可取って、するものだよね?




「してないんすか!?先輩!」

「…桃華、いつが暇?」

「え?」

「俺、桃華のご両親に挨拶に行く」





ひとめぼれ。 完

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