わたしたちは、阻みようのない時の流れの中で、当然歳を重ねてゆく。歳相応な相手と付き合って、結婚し、幸せになって子孫を残す。
だからね、5つも歳の離れたあなたに恋心を抱くわたしは、取り残されたような感覚を抱くんだ。
「いつまでもガキだと思ってんなよ」
きつめの口調で言われた言葉に、わたしは閉口する。瓶の中で水位を下げた液体を、蒼ちゃんはゆらゆらと左右に振った。
引っかかったビー玉が、窮屈そうに壁にぶつかる。炭酸の泡が綺麗だわ。この空と同じくらい。
夕暮れは、もう二度と戻れないセピアの思い出を彷彿させるけど、わたしの視界に今現在映るのは
「俺だってもう高2だぞ」
ブルー時々、蒼。
「…っ」
わたしからしたら、けれども高2はあまりにも若い。それに蒼ちゃんが歳を重ねた分、わたしも同じく歳を取ってゆくんだよ。
「食べさせてくれるの?」
「一生な。」
だけど、気休めであっても、嬉しいな。結婚式には行こう、と思って、わたしは頬を綻ばせる。
蒼ちゃんはさして照れた様子など見せず、夕暮れに目を細めて、残りのラムネを飲み込んだ。
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