招待状を手にしたのは、昨日の夜。会社から帰宅してすぐに、リビングのサイドボードの上に置いてあるのを見つけた。
毛筆で書かれた宛名の迫力も手伝ってか、その厚手の封筒は、やけに、存在感を放っていた。

裏返して目に入ったのは、専門の同級生である友人の名前と、見覚えのある、あの人の名前。その連名を見た瞬間に、わたしの頭の中は、固いセピア色に、染まった。


「どういう神経してるんだろうね」


目の前で加那が、たっぷりと汗をかいたアイスティーのグラスを片手で持ち、ぐるぐるとストローでかき混ぜる。「純を招待するなんてさ」


「……」


なんと言い返そうか迷ったわたしは、結果、開き掛けた唇を尖らせて、手元のコーヒーカップに息を吹き掛けた。

専門学校を卒業して二年。
同級生が結婚するのは、ほんの短い間、ひとつの季節にさえ満たない間だけ、わたしが付き合っていた男性だった。


「……わたしとあの人は、もう関係ないしね」


それに、わたしたちが付き合ってることを知っている人は少なかったし、告白されて、わたしこそ不純な理由で付き合った相手。

未練や執着など、ない。