「走らんの?」どこからかその声が聞こえた。大輔が私に向かって言っていた。
どうやら、1周も走らず大輔のバスケ見てたらしい。

「そんな気分じゃない」ちょっと素っ気無く言った。
「そっか。バスケやる?」大輔が言った。大輔の周りにはバスケやってた人は居なかった。
「えっ、やりたい!いいの?」ただ走りに来た私にはボールなんか持ってなくて、運動できる体しかなかった。
「うん、なんか見られてたし」
あ、ばれてた…?ちょっと恥ずかしくて俯いた。
「はい」と言ってボールをくれた。その時の笑顔が眩しかった。
「ありがと」バスケ経験のない私は見様見真似でやってみる。