トイレから戻ると、漸が正座させられていた。
あたしのせいだー。
「何やってんの?」
「んー、絞めてる」
目が笑っていない笑みを浮かべる祈織。
「なんかに理由つけて、漸は奏に抱きつくからね。」
「俺たち抱きついたことねえのに、漸だけ二回もだぞ。」
漸もなにか言いたげだけど今回のはなんとも。
「あーそれ、あたしが悪いんだー。」
「あ?」
祐介は不機嫌通り越して、誰か殺しそう。
「あたしの武勇伝聞かせようと思ったら泣いちゃってさー。励ましてくれたの。」
「え、奏」
「大丈夫。めっちゃ元気出たし漸のおかげで。あたしがいいんだから、みんなは何も言えないよね?」
圧をかける。目で、言葉で。
「奏………」
漸が、あたしを見る。