私は、放課後教室に一人残り捜し物をしていた。

それは私の鞄。

掃除の後から見当たらない。

いろんなところを探していると…

ガラガラ

そこにいたのは佐野君だった。

「桜、何してんの?」

「私の鞄がなくて…
佐野君は?」

「忘れ物取りに来たんだけどさ。
大変そうだね?俺も探すの手伝うよ。」

「別に大丈夫だよ?
佐野君が迷惑するだけだし…」

「全然迷惑じゃ無いって。
俺も暇だしね。
速く見つけよう。」

笑いながら言ってくれる。

その優しさに涙が込み上げてくる。

それより速く探さなきゃ。

「これ?」

佐野君が持っていたのは汚れた私の鞄。 

「うん…
どこあったの?」

「ごみ箱の中にあったよ?」

「ありがと。
こんなことに付き合わせてごめんね。」

「俺が探したかっただけだから気にすんなって。
でもなんでごみ箱の中にあんの?
間違っても入れないだろ普通。」

「いや~、疲れてたのかも。
ね?」

佐野君は納得できないような顔をしている。

「ま、一応中身確認すれば?」

「うん。」

中には『死ね』、『消えろ』と書かれた紙が入っていた。

私は、我慢していた涙が目にたまる。

「なんて書いてあった?」

「べ、別に…」

「そんなわけね~だろ。
涙目じゃん。」

そういって私の手から紙を奪い取る。

「ここに書いてあること見て何が別になの?」

「こんなのもう嫌っ…」

すると突然佐野君が私を抱きしめた。

「泣いても良いじゃん。
俺が全部聞いてやっから。」

その言葉をきいたとたん、一気に涙が出た。

「どうすれば良いのかわかんないよ……」

私をギュッと抱きしめる。

「大丈夫。
お前は、もう一人じゃ無いから。」

「ありがと…」

ずっと泣き止むまで抱きしめてくれた。

「なんかごめんね。
本当ありがと。
もう大丈夫だから。」

「我慢すんなよ。
これからもなんかあったら全部俺が聞いてやっから。
これからは俺がずっと側にいてやるからさ。」

「え?」

私は、びっくりして佐野君の顔を見上げる。

気づいたら佐野君は、顔を赤くしていた。

「だから俺は、お前の事が好きだって事だよ。」

「私なんかのことが?」

「うん。
付き合ってくれるか?」

「私でよければ!」

自分でも顔が赤くなったのが分かった。

私は、この人の事なら信じて良いのかもしれない。

この人なら大丈夫だと思う。

私の大切な人だから……