「俺は、お前が暴走族になれるかどうかより、高校生になれるかどうかの方が心配だわ。」
「………。」
言ってくれるじゃねぇかこいつ……。
恭は、俺とは比べ物にならないくらい頭が良かった。
俺と同じくらい授業をサボってるくせに、テストでは毎度学年トップ。
だから、教師共も恭には異常に甘い。
俺に対するのとは訳が違う。
元々の出来が違うのか、天才肌なのか……。
見るからに勉強してる様子はないんだけどな。
喧嘩ばっかしてるし、たまに女たらしこんでるし……。
あ、何かイラッとしたわ。
「いてっ。何だよ?」
俺は、恭の足を自分の足で軽く蹴飛ばす。
「べっつにぃ?」
「?」
俺は、寝転がったまま恭に背を向ける。
「なぁ、恭。」
「あ?」
「俺らさ、暴走族作っちまう?」
風が俺達の間を通り過ぎる。
カラカラと枯れ葉が音を立てて転がる。