そして何も言わずに茉莉の家に入り、
階段を駆け上がり、

バンッ!と部屋の扉を開けた。



呆気に取られている茉莉に、
夏芽は声を荒らげる。



「どういうつもりよ!!!!
拓真は茉莉を守ってくれたのに
どうして死のうとなんかするの!?
苦しいのも分かるよ!!
自分のせいでって責める気持ちも分かるよ!!!
でもね、拓真は茉莉に
そんなことさせたがってる訳ないじゃない!!!!」



目に涙を浮かべている。
もう少しで流れてしまいそうなくらい。


「夏芽....」



夏芽は少しずつ茉莉に近づく。

そして手を差し延べる。


「茉莉にまで死なれたら、
あたしはどうなるの?
独りになっちゃうじゃない。」


「夏芽....でもっあたし....っ」


涙が溢れてくる。
もう止められない。

お人形のような顔をしていた茉莉に
感情が戻っていた。



「茉莉、分かってる。
今すぐ受け入れられる事じゃない。
あたしだってどうしていいかわからないよっ...
拓真がいなくなるなんて
考えたこともなかったもの....っ!」


「うんっ....うんっ...」


「でもね、
絶対に茉莉のせいじゃないわ。」


「でも....っあたしがあのとき....っ」


「大丈夫っ....大丈夫だから茉莉。
拓真は茉莉を責めたりしない。
拓真が言ってたこと思い出して?」


「あっ.....」


茉莉の脳裏に浮かんだ言葉と
拓真の顔。