「....まり...無事...か?」
「たく...まっ...」
茉莉は泣きじゃくりながら
嗚咽混じりで言葉を返す。
「猫....も...無事...みたい...だな...」
しかし拓真の表情は
どこまでも優しい。
「お前...は、ほん...と無茶....ばかり....」
「うっ...ふぇっ...たくま...ぁ..」
「まり...のいいところ...だけど...っ
もっ....と....じぶん...を...大事に...っ」
「たくまぁっ...!死んじゃ嫌だよっ
ごめんっごめんねっ...あたしの..せい...」
茉莉がそこまで言うと、
拓真は茉莉の口に手を伸ばす。
人差し指を茉莉の口につけ、
「茉莉っ...好きだ...っ
たのむか...ら....笑って...っ」
最後の力を振り絞ったのだろう。
拓真は茉莉にキスをした。
茉莉には血の味がした。
それがまたリアルに感じた。
ーーーーピーポー ピーポー
しばらくし、救急車が到着した。
恐らくその後に消防や警察も
来たのだろう。
そこから茉莉は一歩も動けず
声にならない声をあげ
ただただ泣いていた。
〝あたしのせいでっっ拓真....っ!〟
〝死んだりしないよねっ...〟
〝ごめんなさいっ...ごめんなさいっ...〟
その胸にはもう、
助けたはずの子猫はいなかった。