「じゃあふたつやるぞ!!」

そう提案したのは拓真。

「「えっ?ふたつ?」」


これは小学生になる前だったろうか。
ひとりだけ冷静で、
どこか大人びていて
とても気遣いのできる少年だった。


「両方やれば喧嘩しないだろ?」


とても幼子とは思えない対応だ。


「でもたくま、さっき隠れんぼやったよ?」

夏芽のその問にも、

「でもまりはもう一回やりたいんだろ?
なら、もう一回やろう」


どこまでも優しかった。