「ごめんなさいね、追いやるみたいにここにずっといてもらって…暑いでしょ?あ、はい、麦茶ね」
「ありがとうございます。……いえ、別に」

 冷たい麦茶を伯母さんから受け取ると、カラン、と氷がグラスの中で揺れた。

「いまから家の中片付けるけど、詩織ちゃんはどこか出かけたらどう?自転車なら勝手に乗ってくれて構わないし…ああ、神社いってみたら?」






 とは、言われても、だ。

「マキシワンピースに、ミュールはちょっと、つらい、かも」

 ちょっとだけオシャレをしようと思った私が悪いのだけれど、少し、いや、大分ヒール付きの靴で歩くのは非常につらい。

 山道といえども、普通に綺麗な道なだけいいのだが、如何せん段差がきつい。
 緩やかで段差が低いところや、急で高い段差のところやら、息が上がってくる。
 途中、なんどかベンチに座り込んでは「もう戻ろう」と意気込んではみたものの、半分以上のぼったから戻るのは…といって結局登っていく。

 ワンピースの裾をつまんで上げつつ歩くのにもそろそろ疲れてきた頃、赤い鳥居が見えた。

 やった!ついた!

 心の中で叫びつつ、少し駆け足でその鳥居へと向かう。









「わあ……!!!」




 鳥居を抜けると、大きな神社が身構えていて、その周りには気がそよそよと風に揺られていて。振り返るとそこには街がぶわっと広がっていて……!

「う、わ……!」

 そして急に、顔へ叩きつけるように風がふいた。




「お前は何者だ」