「娘を惑わす男は許さん」

 そう言って、神様と山神様を切り捨ててしまったのです!!


「ああ、私の愛しい人になんてことを」

 神様たちのなきがらを胸に抱いて、泣き崩れました。

 その瞳から流れ落ちた涙がふたりの頬に伝うと、その醜かった顔はみるみるうちに綺麗な顔になっていくではありませんか。

 その雨が川になって、川の水を口にした者も美しくなっていきます。

 それを見てお父様は、

「ああ、なんて事をしてしまったんだ、どうか私を許しておくれ」

 と涙を流しました。その涙もまた雨になり、神様と山神様の頬を伝います。

 すると、その白くなった頬はほんのり赤く色付き、その腕がお姫様の身体を抱きしめました。

 生き返ったのです!

「よかった、よかった」


 そうして、お姫様と神様は幸せにくらし、山上様は他の山に移り住んでいるそうな。







 時代も、国も、なんだかよくわからないお話。

 私はこの話が大好きだった。