「確か、泉ちゃんと同い年だったと思うよ。」


「えっ、そんな若い歳で本社に?」


ますます甥っ子さんへの感心は深まっていくばかりだ。


「かなりの切れ者だと思うよ。かっこいいしね。とてもモテていたらしいから、本社でもモテモテだろうね。」


それをあなたが言いますか、とオーナーに言うと、ありがとう、と笑って返してくれた。


後は焼くだけのパンを移動すると、オーナーはにこやかに言った。


「今度連れてくるよ。丁度来週は休みだって言ってたからね。」


「じゃあ、カフェ特性のパン、作らなくちゃですね。」


そう言って泉がにこっと笑うと、オーナーも、そうだね、と言って微笑んだ。


来週、甥っ子さんが来たら、オーナーのこと、少し話してみよう。


泉はそう考えながら、オーブンの取手に手をかけた。