さて、どうしたものか。


オーナーに休んでもらうには、少々骨が折れることだ。


「オーナーっていつも一番に来てますけど、誰かに起こしてもらったりするんですか?」


「ん?そうだねえ、基本的には自分で起きるよ。まあ、こんな早朝から起きてる人なんて、私の家には自分以外いないけど。」


「へえ。私は早起きな父に起こしてもらってました。」


そうなんだ、と微笑みながら、オーナーがパンの形を作っているところを見ると、ほんわかとした気持ちになった。


「でも最近は、お甥っ子が居候していてね。なんでも本社に移動になって、家からじゃ遠いから、居候させてくれないかってさ。」


「すごいですね、甥っ子さん。本社に移動なんて。」


「本当、すごいよ。私もびっくりしてしまって。でも最近はその甥っ子が起こしてくれたりするよ。自分が寝る前にって、ついででね。」


夜中まで仕事しているなんて、凄いなあ。


そこまでできない、と泉はとても感心していた。