「すみません、先あがります。」


「お疲れ様。」


オーナーお得意の甘いマスクで微笑まれ、ほんわかとした気持ちで店を出る。


心が安らぐとは、こうゆうことをいうのか。


平々凡々、派手さもなく地味でもなく、というこの生活が、泉にはとても落ちつくものであった。


最近始めた一人暮らしも、近所の人達から歓迎され、同世代の友達もできた。


まだ、両親のいる実家が恋しくて、たまに電話することはあるけれど。


今度、休日にでも帰ってみようかなと思ったり。


こんな日常にとても幸せを感じる。


できることなら、このまま何事もなく、普通に生きていきたいな。


そんな期待を持ちながら、これからの再会を迎えることなど、泉には知る由もない。