「翔子、気持ちを強く持てよ。

夏希の誘いには絶対に乗らないって……。

夏希の誘いは、死への誘いだ。

夏希の言いなりになったら、浩太みたいになっちまうぞ!」




「夏希は、自分が死んだことにも気づかないで、オレたちをあの世に連れていくんだ。

オレたちは、夏希に関わっちゃダメだ。

夏希に取り憑かれないために」




和也がそう言ったとき、翔子が瞳に涙を浮かべて和也に言った。




「和也は簡単にそんなことを言うけれど、夏希の幽霊は、いつも私の近くにいるの。

ずっとずっと、私を誘っているの。

私は夏希のその声を聞いているうちに、行きたくもない海に、心が引かれるのよ。

私は海に行かなくちゃって、いつの間にか思っている私がいるの。

でも、どうして?

どうしては夏希は私をターゲットに選んだの?

イヤだよ私。

私はまだ、死にたくない……」